今回は古川町で畑にホオノキを植えている方への聞き取り調査。
古川の起こし太鼓がぐるぐる回るところからほど近いところにあるホオノキの一つです。
そんなホオノキのそばにある畑を営んでいるかたにいろいろとお話を聞きました。
昔は、山に朴葉を採りに行っていた
畑のそばには株立ちになったホオノキが2本。 どちらも植えたのは20年以上も前とのこと。
20年くらいでこれほどの太さになるそう。
畑の陰になってしまうからと大きくなりすぎないように切ったこともあります。
植えた経緯としては、昔は山に朴葉を採りに行っていた記憶があるが、いつからか先代(父)がここに植えたとのこと。
やはりあいまいな過程で植えられて、今も残っているホオノキは多いんですね。
朴葉の管理はとくにしていない
朴葉の管理はとくにしていなくて、下草を刈るのも畑の管理の一環で、結果として朴葉のためにもなっているそうです。
クズのつるもはびこっています。
農薬も使っていないのでお盆のころには葉が「おぞなる(: 汚くなる、見てくれが悪くなる)」からそのころになると朴葉餅にはつかえなくなります。
ただ、ここは川沿いにあるにも関わらず6月の終わりの時点でそこまで葉が汚くなっていません。 少し土手の外側にあるので、川風をもろに受けないからでしょうか。
朴葉は朝市に出品している
こちらの朴葉の利用は主に3つ。 自分の家庭用の利用と、近隣住民の利用、そして朝市への出品。
ご自宅では毎年朴葉寿司を作っているとのことで、今年はもう2回作ったそう。
「季節を感じられる旬のものだから毎年1回は食べたいねー。」と古川の年配の方がたまに口にする言葉がここでも聞くことができました。
朴葉寿司はだいたい1回に30個ほど作って家族と食べたり、ご近所さんに配ったりするそう。
また、今年は朴葉餅を作っていました。 今は自宅に全自動餅つき機があって、昔より手軽に餅を食べることができるようになったものです。 ハレの日の食べ物であった餅が、今では普通に小腹がすいたときに食べるものに変わってきています。
この姿だけで焼く時の朴葉の香りが想像できます。
また、近隣の方が朴葉を採っていくこともあるとか。 中には声をかけないでとっていくひともいるようで、そこがなかなか難しいところ。
このホオノキが植えられているのはややこしいことに、今の畑の持ち主の土地ではありません。 堤防事業によってもともと自分の土地で会った部分が買い上げられ、畑も半分ほどの大きさになってしまいました。 ただ、今も草刈りなどの管理は実質的に行っていますし、柵の内側にあるので見た目的にも畑のものに見えます。
「採らせてって言われたら、別に断らない」と言っていたので朴葉を採る方は一言周りの人に声をかけられるといいですね。 田舎は住民同士のつながりが濃厚であると思っていただけに、古川は人が多いからか意外にも希薄な一面を見た気分です。
三寺朝市への出品は注文を受けてから
そしてもう一つの利用方法が、起こし太鼓広場近くの「三寺朝市」のほうへ出品です。
値段は120円 (2024/06/29)
出品するのは、朝市のほうから注文があったときのみ。 青朴葉は出品してから長期間もつわけではないので、1,2日売れないで廃棄になってしまうのです。 そのため、注文があるときにだけ出品するそう。
毎回の出品数はだいたい50枚前後。およそ10枚で1束(包装)
シーズン全体ではだいたい150枚前後を出荷しています。
つまり、個人利用と合わせてだいたいこの朴葉は300枚前後が使われているとのこと。
もちろん、300枚前後が”使える”形の朴葉であって、実際にはその倍以上の1000枚ほどの朴葉がとられて見た目が悪いものは廃棄されているのでしょう。
それも、畑の肥やしとなってくれて来年の朴葉の栄養となってくれるのです。
おわりに
今回は古川の市街地に近いところにある朴葉の木と、そのそばで畑を営んでいる方から聞き取り調査を行いました。
やっぱり、毎年1回は朴葉寿司を食べたいと思うそうで、文化として根付いているんだなあと感じました。
ただ、だんだんと高齢になるにつれて朴葉の管理や、葉っぱを採る作業も大変になってきているそうです。
こうして、アクセスがよい朴葉がだんだんと市街地から消えてしまってきたのではないかと思えました。
これからの朴葉の管理とその文化をどうやってつなげていくかをさらに考えていかないといけませんね。